こころの栞

「仏教」は世界人類を救う⁉︎

「仏教」と言いますと「仏の教え」と受け止める人が多いようです。誤りではありませんが、お釈迦様の生涯をかけた願いに照らせば、「誰もが仏に成る教え」と受け止め直した方が良いと思います。

「仏」とは「ブッダ」の音訳「仏陀」の「仏」です。「真理にめざめた人」という意味です。

「仏の教え」となると、お釈迦様がお悟りになられた35歳の時点で完結してしまいます。お釈迦様のような特別な人のお悟りは、私とは、かけ離れた雲の上のような存在にしてしまいがちです。しかし、お釈迦様の“本番”は、お悟りから80歳でお亡くなりになるまでの45年間です。インド中を旅され、幾多の迷いの衆生に向かい合われました。誰にでも「人々の迷いの暗から目覚め、苦悩の中から解放される真理(道理)」をお示しになり、対機説法されました。

一人一人の苦悩の因も縁もそれぞれ異なりますから、その人に応じた説法をされました。維摩経には、「応病与薬」の喩えがあります。「八万四千の法門」と言われるたくさんの経典が漢訳され日本にも伝えられています。これは、人間の煩悩の数だけ、お釈迦様の聴記である経典が生み出されたということです。

そこまでして、一人一人の苦しみや悲しみに寄り添って、無明煩悩の闇を破り、真の道理に目覚めて、苦悩から解放される普遍の大道を明らかにされたのであります。

私たち在家止住の生活にある仏教徒においては、世の祈りに心をかけ、正信念仏賜って共に聞法に励む生き方を回復することこそ、仏の願いであります。

真宗大谷派福井別院輪番
五辻 信行



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